子供の矯正歯科
Children's Orthodontic

子供の矯正を始めるタイミング

子供の矯正は始める時期の見極めがとても大切になります。前歯や奥歯のかみ合わせがずれていて、顎の位置がずれて噛んでいる場合は早く始めるのがベストですが、歯が生える隙間が足りないお子さんの場合は治療開始の時期を待つこともあります。無意味に早期矯正治療を始めると、お子さんや保護者の負担が増えるだけで良い結果は得られません。当院ではお子さんの歯並びの状況に合わせて、しっかりと診断を行い、治療のスタート時期を見極めます。そのため、保護者の方が「今すぐお子さんを矯正させたい」と望まれても、患者さまの利益を考えスタート時期をお待ちして頂くことがございます。

子供の矯正の重要性

▶︎ 噛み合わせの早期治療

お子さんの歯並びは将来大人の歯に生え変わり、歯並びが完成していきます。小学生の時期に噛み合わせのずれがある場合、そのままの状態で大人の歯が生え変わると、ずれのある永久歯列になります。このずれは顎関節症の原因になるとされています。

▶︎ 虫歯、歯周病の予防

海外の論文では歯並びと歯周病に相関性はないという論文報告もあれば、健全な歯列の患者さんは高齢時に歯牙の損失が少ないとの報告もあります。実際の臨床をみていると、歯がデコボコ並んでいるよりも、整列しているほうが歯を磨く手間は格段に少なります。実際、患者さんからも歯が磨くのが楽になったと言われることが多いです。

▶︎ コンプレックスの改善

歯並びがデコボコしていたり、前に出ていることでコンプレックスを感じているお子様もいます。そのような場合にはコンプレックスの解消を図れるように、心配事がなくなるように、当院は最大限の努力をいたします。

▶︎ 怪我の予防

上の前歯が前に出ている上顎前突といわれる状態は、健全歯列に比べると2倍の外傷リスクがあると言われています。前歯の噛み合わせを治療することで歯が折れたりする外傷リスクを減少させることが出来ます。

メリット 子供の時期に歯並びへ介入するため、将来的な選択肢が広がる。
噛み合わせの状態によっては成人と比べて費用が少なくなることがある。
成人と比べてワイヤー装置の期間が短くなる。
デメリット お子さんの協力性が必要。
矯正装置によっては仕上げ磨きなど保護者の協力も必要となります。
正しい診断をせずに治療を行うと長期間の矯正となる。

歯並びを治す期間

お子さんの状態にもよりますが、部分的なものでは1-3ヵ月。全体的なものでは1-2年。永久歯列まで通したケースではトータルの期間は長くなることがあります。前歯が反対に噛んでいたり、奥歯が左右にずれているケースでは数ヵ月で改善し保定も必要ないため、治療の期間が長くかからないことがあります。上下の顎の位置が大きく前後的にずれていたり、歯が大きくて顎に並びきれないケースは永久歯列の矯正も必要となる場合がございますので、時間がかかることがあります。当院ではしっかりとした診断を行い、時間のかかるケースでも治療を最小限に、負担が少なくなるように努力いたします。

 

~小児の矯正歯科を
年齢別に考える~

0歳~生後6か月
(無歯期)

出生から最初の歯が生え始めるまでの時期です。身体の成長が著しく、頭の骨の成長も極めて大きいです。
母乳を飲む行為はお子さんにとって最初のあごの運動であり、お口の周りの筋肉を使うことで今後の噛む筋肉の発育に繋がります。この時期のお子さんはお口で吸い、鼻で呼吸をする理想的な鼻呼吸の状態であると言われています。よく笑い、よく飲むようにしっかりとしたスキンシップをしましょう。

生後6か月〜3歳
(乳歯咬合完成前期)

個人差がありますが生後7か月頃から、乳歯が生え始めます。歯が生え始めたら、ガーゼなどで歯を拭い、清潔にするように心がけると良いでしょう。
そして少しずつ離乳食もスタートします。この時期に虫歯で歯の神経に細菌感染があると、乳歯の下にある大人の歯の形成に影響をあたえる可能性があるため、まずは歯磨きを頑張って虫歯を作らないようにしましょう。また、時期は色々な素材の食べ方を学習することで噛み方を学ぶトレーニングにもあたります。

上下の前歯が生える時、子供が面白がって下顎を前に出して反対咬合になることがあります。
まだこの時期は奥歯がしっかり生えていないことと、顎関節が未完成なことからよくあることです。大半は5歳までに自然に治ることが多いです。当院では無理に一体型マウスピースなどの矯正治療を行うことはおすすめしません。お子さんにはのびのびと過ごさせてあげてください。

3歳~6歳
(乳歯咬合完成期)

乳歯歯並びが完成してから、永久歯が萌出を開始するまでの時期で、乳歯の前歯の間には隙間ができているのが理想的です。これは永久歯の前歯は乳歯の前歯より大きいためです。

この時期で多い不正咬合は反対咬合で、歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)や筋機能矯正装置が用いられることがありますが、お子さんの協力度や得られる結果から、当院ではこの時期に焦って治療を開始するのを推奨していません。お金も時間もかけても良い結果にならないことが多く、お子さんも保護者様も疲弊してしまうからです。必要な時に必要な治療を行い確実に治す方法をお勧めします。

まずは虫歯予防やお口周りの悪い癖の改善トレーニング、正しいお口の使い方や鼻呼吸を習得していきましょう。ただし、交叉咬合と呼ばれる不正咬合は自然に治ることがほとんどありませんので、ぜひ一度ご相談いただけたらと思います。

一期治療(混合歯列期)

6歳~9歳
(永久歯萌出開始期)

乳歯の前歯が抜け、乳歯列の一番奥に6歳臼歯(第一大臼歯)と呼ばれる永久歯が生え始めます。6歳臼歯は一番大きく、かみ合わせにおいてとても大切な歯ですので生涯にわたり虫歯にならないよう注意しましょう。 上下の前歯が生え変わると、今後生え変わる永久歯の大きさが予測できるようになります。

前から二番目の歯は、顎が小さく狭いとなかなか生えて来ないことがあります。心配な場合はレントゲン写真を撮影して確認すると良いでしょう。
不正咬合が認められた場合は、この時期から一期矯正(小児矯正)を行います。まずは状態をしっかりと把握、診断を行い、お子さんに適した装置を選択することが大切です。骨格や歯のスペースの量は人それぞれ異なりますので、兄弟でも異なる治療方針になることがございます。歯が転位していたり、捻じれが大きい場合はこの時期に改善させることで、より後戻りがしにくくなります。

9~12歳
(側方歯群交換期)

乳歯の犬歯や奥歯が次々と抜けて、永久歯に生え代わる時期になります。この時期では上顎の発育はほぼ終了に向かい、第二次成長期が近づくことで、下顎の発育が徐々に起こり始めます。前歯の隙間や、上下の前歯の前後的な距離がある場合はその原因がどこにあるのかを見極め、下顎の成長のコントロールを行うのか、歯軸の傾きのコントロールを行うのかを考えなくてはなりません。

歯が生えるスペースが少ない場合には隙間を獲得し、永久歯列期での歯を抜く確率を下げることが出来る場合もあります。ただし、受診のタイミングによっては、永久歯列期まで矯正治療のスタート待つこともあります。この時期の矯正装置はお子さんの不正咬合の状態に合わせて適切なものを選択することが大切になります。

二期治療(永久歯列期)

13歳~
(永久歯列完成期)

永久歯列期になると、横方向のへ自然な発育は終了します。歯が内側に倒れている場合を除き横方向へ押し広げることは出来ません。一期治療後にわずかな捻じれやズレがある場合も二期治療でより精密に治療します。
この時期では、大人と同じような矯正装置が使用できます。すべての歯にブラケットを付けるのも可能になります。ただし子供の場合は虫歯の進行が早いので、歯磨きがより難しくなる舌側矯正は余程のことがない限り避けたほうがよいでしょう。
芸能活動などでブラケットがつけられない場合は他の方法を提案いたしますので一度相談してください。

歯の生えるスペースが少なく、でこぼこに生えている場合には便宜抜歯といって、顎の大きさと歯の大きさのバランスを合わせるために抜歯をする可能性があります。また横顔の綺麗さや、口が閉じにくいなどの症状があれば、本人や保護者様と相談を行い、同様に抜歯を併用した矯正治療を提案することもあります。より自然でかみ合わせの良い状態にするために必要なことは何かを相談できればと思います。
一期治療で反対咬合の治療を行ってきたお子様の中には、遺伝の影響が大きく、二次成長に伴い、受け口が再発してしまう可能性があります。その場合は女性では15歳頃、男性では18歳頃まで成長の観察を行います。

 

1期矯正

お口の中に乳歯と永久歯が混じっている場合や、小学校高学年での部分的な矯正治療は1期矯正と呼びます。成長と永久歯の生え変わりを誘導することでお子さんの負担を少なくすることが出来ます。ただし多くの場合、お子さん本人が歯並びを気にしていない時期での矯正歯科治療でもあるため、保護者の協力も治療を成功させる大事な要素の一つになります。一緒に頑張っていきましょう。

使用する装置について

小児矯正は様々な矯正装置があるのが特徴です。一例としては、マルチブラケット、リンガルアーチ、クワドヘリックス・バイヘリックス・急速拡大などの固定式装置、歯列矯正用咬合誘導装置(T4K・マルチファミリー・ムーシールド・ビムラー・拡大床)などの筋機能矯正装置、ヘッドキア・フェイスマスクなどの顎外装置です。当院では正しく診断することによって、お子さんにとって最も効果的な装置を選択、治療計画を立案した上で矯正歯科治療を始めます。
お子さんのお口の中は十人十色。兄弟姉妹でも異なる治療法になることがございます。心配な方は一度ご相談してくださいね。

2期矯正

永久歯列が完成した中学生から成人以上の矯正治療はⅡ期治療と呼びます。現状を正しく診断し、全体の噛み合わせの治療を行います。噛み合わせを改善することにより結果的に審美性も改善します。骨格的な成長の余力が大きいと診断された中学生は、治療を開始するタイミングを成長に合わせて待つ場合もあります。

使用する装置について

歯の移動量が多い場合は、基本的にマルチブラケットとワイヤーを用いた矯正歯科治療になります。当院では以前と比べると摩擦力の少なく痛みが少ないタイプの装置を使って治療しています。成人の患者さんで希望される場合は歯の裏側から行う舌側矯正も取り扱っております。歯の移動量が少ない場合は取り外しタイプの*マウスピース型カスタムメイド矯正装置での治療を行うことも可能です。ただし、顎の位置のずれが大きいと適用外の場合もありますので、一度ご相談ください。*マウスピース型カスタムメイド矯正装置は未承認完成物薬機法対象外の矯正装置であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合があります。

リスクと副作用

矯正治療のリスクと副作用については下記よりご確認ください。

詳しくはこちら
1期、2期矯正の治療の流れについて
カウンセリング まずはご自身(お子さん)の歯並びでどこが一番気になるかを教えてください。治療の際の希望をお聞きし、大まかな期間、費用をご説明します。
検査 正しく診断するために、写真・噛み合わせ・歯型・レントゲンの資料をおとりします。歯周病や歯の被せものがある場合は、その状態も精査いたします。
診断 検査で得られた情報をもとに分析・診断をおこない、治療計画を立案し、ご説明いたします。
治療開始 治療計画に沿って矯正歯科治療をおこないます。わからないことがある場合はその都度ご質問なさってくださいね。
保定・
メインテナンス
治療後は綺麗に並んだ歯列を守るため、メインテナンスで定期検診を行います。保定が必要な方は、指示された期間保定装置を使用しましょう。

 

子供の癖が歯並びに及ぼす影響

▶︎ 指しゃぶり

赤ちゃんの頃の指しゃぶりは口の機能や哺乳、発達の為に必要なものとされています。ですが、2歳頃の奥歯が生えて噛み合ってくる時期に、指しゃぶりやおしゃぶりの習慣が残っていると、前歯が前に押されたり、上下の前歯が噛み合わないなどの歯並びや噛み合わせの問題が起きてしまいます。3歳までには少しずつ指しゃぶりをやめられるように環境を整えていきましょう。

口呼吸

口で息をする口呼吸は、歯並びに対して大きな影響があります。歯の並びはバクシネーターメカニズムと言って、舌による圧力と唇や頬の筋肉からの圧力のバランスが取れる位置に自然に並ぶようになっています。口呼吸では舌の位置が下がってしまい、上あごの歯列が狭くなったり、歯が内側に倒れてデコボコになってしまいます。風邪の予防やお口の乾燥を防ぐためにも、口を閉じ鼻で息をするように心がけましょう。お子さんの中には、扁桃腺が腫れていたり、舌小帯(舌のヒダ)の形に問題があり、口呼吸しか出来ないこともあります。一度ご相談ください。

歯ぎしり

歯ぎしりの原因には、ストレス、悪いかみ合わせ・歯並び、食いしばりの癖、疲労や睡眠不足などがあるとされています。お子さんの場合、歯が生え始める生後6カ月ごろから始まり、なかには中学生くらいまで続く方もいらっしゃいます。保護者として心配になってしまいますが、一過性の時もあり、経過観察を行うことが多いです。歯ぎしり・食いしばりの癖が強いときは奥歯がすり減り、かみ合わせが深くなり、歯ぎしりが強くなることもあります。睡眠時無呼吸や歯並びに問題が大きいときは矯正治療を考えたり、ナイトガードで歯を保護したりします

頬杖

子供の顎の骨は大人と比べて柔らかく、頬杖やうつぶせ寝などの、外から持続的にかかる力で歯やあごの位置がずれてしまいます。頬杖を続けることで下あごが左右にゆがんでしまったり、うつぶせ寝を続けることで下あごが奥に押され成長が抑制されてしまうことが報告されています。少しづつ悪い癖がなくなるように気を付けましょう。

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